外貨建て債券のおススメ銘柄 | リスク・利回りをチェック!

分散投資をする上で通貨の分散も当然必要だと思います。
円だけでなく米ドル、豪ドル、ユーロ、新興国通貨また仮想通貨などに分散して投資すべきでしょう。
通貨分散の方法として外国株やFX、外国債券などが一般的です。
今回はこの中で最もリスクが低く、利回りは円債券よい断然良い「外貨建て債券」について紹介します。

 

 

 

■外貨建て債券とは?

「債券」とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行する証券のこと。
投資家は債券に投資することで発行体に資金を融資していることになります。

 

外貨建債券は払込や利金・償還金の受け取りが外貨で行われる債券のことで転売も可能です。

 

債券にはあらかじめ金利や償還日、償還金額が定められており、債券を保有することで定期的に利息がもらえたり、満期まで保有することで元本が戻ってくるようになっています。

 

発行者が破綻しない限り、元本は必ず戻ってくることになります。

 

 

 

■外貨建て債券の主な種類

国債
国債とは、その国の政府が発行する債券のこと。
債券投資の中でも最も一般的な債券。米国債などは発行ボリュームがかなり多くなっています。
米国債の場合、アメリカ合衆国に対する信頼により市場が形成されており、極めて高い流動性があります。
流動性の高さからドル建外貨準備の主要な投資先となっています。
米国債なら信用リスクは極めて低い安全な債券の一つとされています。
国債でも破綻のリスクがある新興国の債券には注意が必要です。

 

 

利付債
償還日まで定期的に利金が支払われる債券のこと。
米国国債は年2回利払、ドイツ国債は年1回利払されます。
一般的に債券と呼ばれる場合はこの利付債のことを指すことがほとんど。
クーポン(利金)の額が変動する「固定利付債」とクーポン額が変動する「変動利付債」があります。

 

 

ゼロクーポン債(割引債、ストリップス債)
クーポン(利金)がゼロの債券です。
利金の支払いが無く、利息相当額が額面金額より割り引かれて発行される債券です。額面金額で償還を受けます。
債券額面よりも安く手に入れることができ、償還時には額面で償還されるため、その差額が収益となります。
簡単に言うと$7,000で購入して30年経ったら$10,000になって戻ってくるようなことです。

 

 

社債
社債とは、一般の企業が発行する債券のこと。
企業は社債を発行することで直接投資家から資金を募ります。
社債にもいろいろ種類があり、一般の社債をSB、ほかにもCB、ワラント債など様々な特徴を持った社債があります。
償還期日がきたら額面金額が返ってくる、利息がもらえるなど約束されている債券ですが、絶対とは限りません。
企業の財政が苦しくなると利息が支払われなくなることもありますし、倒産してしまったらお金が返ってこない場合があります。

 

 

劣後債
一般無担保社債と比較して元本・利息の支払いの順位が低い社債を劣後債と言います。
債務不履行のリスクは大きいが、利回りは相対的に高く設定されています。
もしその企業が破産や会社更生手続きの開始などが発生すると一般無担保社債などよりも支払いの順位が後になります。

 

 

仕組債
仕組債とは、高度な金融スキームなどを駆使して作られる債券のこと。
スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を駆使しキャッシュフローを生み出します。
一部の富裕層に対して提供されていましたが、近年では一般投資家に対しても販売されています。
中には債券とは思えないような高いリスクを伴うものもありますので要注意。

 

 

投資適格債
格付機関がダブルB(BB)以上の格付を持つ企業や団体が発行している債券のこと。
元本の償還や債券の利払いの確実性が比較的高い債券を指します。

 

 

ジャンク債(ハイイールドボンド)
信用格付機関がダブルB(BB)以下の格付を持つ企業や団体が発行する債券のこと。
利払いや元本の支払いの確実性が比較的低い債券を指します。

 

 

 

■為替変動と利回りが損益を決定する

外貨建て債券を購入する上で最大のリスクは為替の変動です。

 

新興国の通貨は為替変動が大きいです。
南アランドやトルコリラなどは非常に高い利回りを設定していますが、為替変動が多きいのでハイリスク・ハイリターンの商品と言えるでしょう。

 

一方、米ドルや豪ドルなどの先進国の通貨は利回りは高くありませんが、為替の変動は小さいと言えます。
いずれも大きな為替変動があると損します。

 

 

ただその国が破綻しない限り、長期に保有すれば、かなりの確率で利益を出せると考えます。

 

例えば、$1=100円の時に
利回り3%の$10,000(1,000,000円)の債権を所有した場合、
1年後には$10,300になります。

 

一方で為替が$1=95円になったら
1年後の価値は$10,300x95=978,500円
と円換算の価値は減ってしまいます

 

 

2年後には$10,609
3年後には$10,927
という風に増えていき
24年後には$20,328
と2倍になります。

 

 

もし24年後の時点での為替が半分の$1=50円になっていたとしても
円換算にすると
$20,328x50=1,016,400円
と少なくともマイナスにはなりません。

 

逆に$1=120円になっていれば、
$20,328x120=2,439,360円
と大きく利益を出せます。

 

 

アメリカが破綻寸前にでもならない限り、$1=50円は考えずらいので保有期間が長ければ、利益が出る可能性はかなり高くなります。

 

つまり先進国の「外貨建て債券」は長期保有することでかなりの確率で利益を出せることになります。

 

 

 

■何年保有すれば良い?

先進国の外貨建て債券は、中リスク・中リターンの投資と言えるでしょう。
おススメの保有期間としてひとつの考え方として年金受給開始年となる65才までというものがあります。
もしあなたが35才であれば、30年間債券を保有することができます。
さらに年に1度債券を追加で購入できれば、為替変動のリスクも分散できますし理想的と言えるでしょう。
もし年齢が45才なら20年間保有ということになります。
あくまでも分散投資のひとつとして検討しましょう。

 

 

 

■ポートフォリオの外貨建て債券の割合

分散投資をしていく上でポートフォリオの構成は重要です。
ポートフォリオの組み方は投資知識・投資スタンスなどによりかなり個人差があります。
一般的に先進国債券の割合25%程度、新興国債券は5%程度です。

 

 

 

■どの国の債権を購入すればよい?

新興国の債券は利回りが高い分、為替変動が大きいので注意が必要です。

 

例えば、トルコの債権は利回りが高いですが、為替変動が大きすぎてリスクはかなり高いです。
ここ3年間でトルコリラの価値は半分以下になってしまっています。
いくら金利がよくても大きくマイナスになってしまいます。

 

やはり通貨が強い国の債券を買うのが良いでしょう。
例えば、米ドル、ユーロ、豪ドル、カナダドルなどがおススメです。

 

 

 

■外貨建て債券のメリット・デメリット

〇メリット
・国内の債券より金利がかなり良い
・為替が円安になった場合、大きな含み益が出る
・通貨を分散することでリスクを分散
・金利は円より良い
・一度購入すれば、放ったらかし
・リスクを抑えつつも高いリターンを狙える
・途中で解約できないがいつでも売買できる
・先進国の債権であれば、破綻リスクは低い
・先進国債券はローリスク
・新興国債券はハイリターン

 

〇デメリット
・為替が円高になると大きな含み損が出る
・利益を得るには長期保有が前提
・債券を発行している国や会社が破綻すると価値はゼロ
・短期で儲けたい人には不向き
・先進国債券はローリターン
・新興国債券はハイリスク

 

 

 

■どの証券会社で購入すればよい?

 

国内の証券会社は外貨建て債券の種類が少ないのでベストではありません。
種類が豊富な海外の証券会社をおススメします。

 

ただ日本に居ながら口座開設できる海外の証券会社はあまりありません。
その中でおススメはアメリカの「Firstrade Securities」(ファーストレード証券)です。
債券の種類も豊富ですし、すべての米国株も購入できます。
口座維持費はかかりません。
初心者でも操作性がよく、取引しやすいです。
しかも日本より取引手数料は安い。

 

またFirstrade Securitiesは証券投資家保護機構【The Securities Investor Protection Corporation(SIPC)】に加盟しており、口座資金50万ドルまで(現金については25万ドルまで)はSIPCが保障してくれるのは安心材料です。

 

 

国内の証券会社であれば、「SBI証券」「マネックス証券」「楽天証券」の3社は、さほど多くはありませんが、外貨建て債券を扱っていますのでおススメです。

 

 

〇SBI証券
SBI証券は、オンライン専業証券の中では最大証券会社です。
個人向け国債や普通社債、外貨建て債券・社債など幅広く債券を扱っています。

 

債券投資信託や債券のEFTも取り揃えがあります。
また定期的にキャンペーンも行っています。

 

SBI証券は国内では債券投資において最もすぐれたネット証券だと思います。

 

 

〇マネックス証券
外貨建て債券としては米国国債や米大企業のドル建て社債、劣後債などを扱っています。
またトルコリラや南アフリカなど外貨建ての債券も。

 

マネックス証券も債券投資では抑えておきたい証券会社です。

 

 

〇楽天証券
米国ドル建てをはじめ、イギリスポンド建て、南アフリカランド建てなど様々な外国債券を扱っています。
特に楽天証券に強みがあるのは「外貨建て債券」への投資と「海外ETF」の取り扱いです。
外貨MMFを使った外貨決済サービスにより、外貨を外貨のまま運用できます。
外国債券に興味があれば楽天証券がお勧めです。

 

 

 

証券会社ごとに債券の種類や条件が違いますのでリスクやリターンなど十分に理解してから取引しましょう。

 

 

 

■長期保有が前提で外貨建て債権を選ぶときの注意点

一般に外貨建て債券へ投資するということは長期保有することになります。
長期に保有することは当然リスクが増します。
そこで外貨建て債券を長期保有する上でリスクを軽減するために注意するポイントとして

 

・為替変動が少ない。
(変動が大きいとプラスに働く場合もあるがマイナスに働くこともある)

 

・チャートの変動が少ない
(変動が大きいとプラスに働く場合もあるがマイナスに働くこともある)

 

・時価総額は2億米ドル以上
(時価総額が小さいと債券・ETFを運営する会社の利益が出ないために上場廃止される可能性がある。また流動性が低くなり売買の気配値が乖離するというデメリットがある)

 

 

 

 

■おススメの債権

 

〇ゼロクーポン債(ストリップ債)
ゼロクーポン債とは、クーポン(利金)の支払いがなく、満期までの利子に相当する金額をあらかじめ債券の額面金額から差し引いた価格で発行され、満期時に額面金額で償還される債券のことです。
満期までの期間は債券により異なり、発行する機関は、外国の政府や地方自治体、民間企業などさまざまです。

 

例えば$7,500で購入し、20年後には$10,000で償還されるというのがゼロクーポン債です。
米国ゼロクーポン債の利回りは2.5%前後。

 

購入するなら為替リスクが低く、国の破綻リスクも低い米国・カナダなど先進国のゼロクーポン債をおススメします。

 

 

 

〇優先出資証券
協同組織金融機関や特別目的会社が自己資本の充実を図るため投資家から出資を募る目的で発行される証券。
普通出資者総会における「議決権」がない一方、「優先的配当」を受ける権利があるなど株式会社における優先株に類似した権利を持ちます。
価格変動が小さく、安定的に配当を得られる可能性が高い商品です。

 

1社の優先出資証券ではなく複数社の優先出資証券をまとめたETFが安定的でおススメです。

 

 

・【PFF】(iシェアーズ米国優先株式ETF)
分配金利回り:5.57%
年間運用報酬:0.48%
資産総額:16.6(十億USD)

 

投資対象の約75%は大手金融機関の優先出資証券で200銘柄以上に分散投資しています。
そのため、ひとつの銘柄への投資割合は1%以下であるものが多く、万が一、保有する優先出資証券の一部に配当が出なかったり、償還されない事態が発生しても、投資口価格にそれほど大きな影響を与えることはありません。
チャート的にも安定しています。
個別銘柄の優先出資証券は利回りも高いですが、元本全損リスクも高いため、ETFで銘柄を幅広く分散するというのは非常に有効な投資戦略です。

 

 

・【PGF】(InvescoFinancialPreferredETF)
分配金利回り:5.28%
年間運用報酬:0.63%
資産総額:1.509(十億USD)

 

金融機関の発行する優先出資証券のみを投資対象にしています。
ファンドは、金融機関の優先証券に総資産の少なくとも90%を投資しています。
ブルームバーグ・プロフェッショナル・サービスから「金融」の産業部門分類を受けた金融機関により発行された固定または変動金利配当の優先証券で構成されています。

 

 

 

〇グローバルマクロ
ヘッジファンドの運用手法の一つです。
世界中の国や地域の主要経済トレンドや政治的見通しを重視し、各国の経済、金利、為替などのマクロ指標の予想に基づき機動的にグローバルな投資。
グローバルに株式、債券、通貨、先物など様々な投資対象についてロングおよびショートポジションをとります。

 

 

・【QAI】(IQHedgeMulti-StrategyTrackerETF)
分配金利回り:2.19%
年間運用報酬:0.53%
資産総額:1.191(十億USD)

 

保有銘柄は、約53%が中リスクの社債、ハイブリッド証券、国債などの債券で占められていることが分かります。

 

 

 

〇高利回り社債ETF
社債とは企業が必要となる資金を調達するために発行する「債券」です。
株式の発行や金融機関の借り入れといった資金調達以外の方法として用いられています。
その社債が高利回りということは、倒産や元本割れリスクが高いということになります。
そこでETFで銘柄を幅広く分散するというのが有効です。

 

 

 

・【HYG】(iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF)
分配金利回り:5.17%
年間運用報酬:0.49%
資産総額:14.78(十億USD)

 

普通社債、劣後債、またミディアム・ターム・ノートと呼ばれる債券を中心に保有しています。
主に格付けが低く、最終利回りの高い債券を詰め合わせたETF。
低格付け債券がほとんどですが、保有銘柄が分散されているためリスクを低減できます。

 

 

・【IHYG】(iシェアーズ゙ユーロハイイールド社債)
分配金利回り:3.54%
年間運用報酬:0.50%
資産総額:4.74(十億USD)

 

ユーロ建て普通社債、劣後債、またミディアム・ターム・ノートと呼ばれる債券が中心。
格付けが低く、最終利回りの高い債券を詰め合わせたETFです。